このページは、お渡しした名刺の、続きです。
お会いできた御礼に、贈り物をひとつ。
五分ほどで読める、小さな作法です。
お茶でも淹れて、ゆっくりどうぞ。
江戸時代の禅僧・白隠は、若い頃、修行に打ち込みすぎて心身を壊しました。頭に血がのぼり、耳鳴りがやまず、体は冷えきっていた。今でいえば、がんばりすぎて燃え尽きた状態です。
そのとき教わったのが「軟酥(なんそ)の法」でした。
頭のてっぺんに、卵ほどの大きさの、やわらかいバターの塊が乗っている。そう思い描く。
それが体温でゆっくり溶けて、頭を潤し、肩に流れ、胸を通り、腰から足へと降りていく。
降りきったとき、頭は涼しく、足はあたたかい。
白隠『夜船閑話』より白隠はこの法で回復し、生涯、人に伝え続けました。ここでは、バターの代わりに、あたたかい橙の珠——宝珠をひとつ、置きます。(名刺のデザインをみていただくと分かりやすいかと思います)
がんばって行うものでは、ない。順番に置いていくだけの、静かな手順です。
楽な姿勢で、出入りする息をただながめます。整えようとしなくていい。ながめているだけで、息のほうがひとりでに深くなっていきます。
頭頂に、あたたかい橙の珠がひとつ、ふわりと乗っているところを思い浮かべます。卵くらいの大きさ。乗せようと力まず、「もう乗っている」と置くだけです。思い描けなくても、「あるつもり」で十分。
珠が体温でゆっくり溶けて、頭皮を潤していきます。こめかみがゆるみ、目の疲れが溶け、肩のこりが流れ、指先まで、あたたかさで満たされていきます。こわばりのある場所は、通るときに少しだけ時間をかけて。雫の速さに任せます。
流れが胸を通るころ、あたたかい言葉をひとつふたつ、心のなかに置いてみます。
あたたかさが、お腹を、腰を、脚を、足の指先まで満たしていきます。全身が満ちて、頭は涼しく、足はあたたかい。頭寒足熱。降りきったら、そのまましばらく、あたたかさの中にいてください。そのまま眠ってしまっても、かまわない。
今夜、眠る前に。
よかったら、ひとしずく。
この作法の出どころは、一冊の本です。
足さない。引き算。もう着いている。
そういう本です。
この続きは、少し長くなります。
お渡しした名刺は、私が作りました。
あなたの想いと、届けたい相手のあいだにある差を見つけて、
カーンと響く一枚を、育てる仕事をしています。
果実と同じ手つきで泥臭い集客できるサイトも。